Lullaby 4U

管理された機械になりたい

女性が化粧をせずに外に出られる社会になると良いですね(良いのか?) ​

・怒られた話

ある知人女性と話していた時、軽い気持ちで「ブスでもブスなりに胸張って外出たらええやんと思うんよね」と言ったところガチギレされたことがある。

別にその女性の容姿が劣っていると言いたい訳ではない、社会一般の話だと言い訳をしたのだが火に油を注いでしまい、最終的に彼女は少し涙声になっていた。

当時は「女性にこういう主張をしたらこういう反応になるのね、これからはやめとこ」としか思えなかったのだが、流石に今は申し訳ないことをしたなという程度には思えるようになった。

多分私の主張は「働きたくないならニートになればいい」とか「勉強したくないなら受験やめればいい」みたいなものと同じ類のものだったのだろうと思う。

まあ完全に間違っているわけじゃないけど、何も知らない人間にどうこう言われたくない。

自分がいる今、ここに立って戦ってから物を言え、と。

 

・相手は天下の世間様

以降、ブサイクの語を容姿の劣る男性、ブスの語を容姿の劣る女性と定義する。

男子学生、特に男子校の中学生というのは世の中で最も身だしなみなどというものから縁遠い位置に居ることが出来る存在である。

フォーマルな場でない限り寝癖が立ってようが珍妙な服を着ていようがニキビ肌を丸出しにしていようが鼻毛が出ていようがまあちょっと笑われる*1くらいで大した実害はない。

無論周りも似たり寄ったりだからである。

9割の芋集団に1割イケメンがいたところで芋の方が多数派だ。

実際には1割どころかせいぜい2、3%くらいだろう。

 

高校は共学で、多少行動範囲も広がったので少し女性を見る*2機会が増えた。

大学に入学し、上京し、繁華街なども多少歩くようになった。

そこで私は気付いた。

 

男性全体におけるイケメンの比率に比べて女性全体における美人の比率大きすぎない?

男性全体におけるブサイクの比率に比べて女性全体におけるブスの比率小さすぎない?

 

美人とブサイクのカップルというのはそれなりに見かける。

東京では尚更だ。

一方イケメンとブスの組み合わせはほとんど見ない。

というかイケメン自体野良にほとんど存在していない、ように見える。

要はイケメンが少なすぎて美人が過剰状態にあるのだ。

最初は多分同性に対して厳しく異性に対して甘いだけなのだろうと思っていた。

それもあるのかもしれないが―結局の所、ほとんどの女性がパブリックな空間では化粧をしているから、というのがその答えなのだろう。

ブサイクばかりの空間でブサイクで居るのは楽だが、一定以上のレベルが担保された空間でブスでいると何だか惨めな気持ちになる。

容姿に時間を掛けたくない女性にとって化粧というのはある種の枷であり、それを枷たらしめるのは異性の目と同性の目とが渾然となった世間様、と言ったところだろうか。

もし私が女性だったら日々化粧をするたびにフラストレーションを溜めていただろう。

私がブサイクのままでのほほんとしていられるのも世のブサイク諸氏のおかげであり、彼らには足を向けて寝られない。

 

・化粧と軍拡競争は似ている

似ているというのは言い過ぎたかもしれない。間違いなく言い過ぎだ。

せいぜい一つ共通点がある程度だ。

つまり、周囲がやるから何となくやらなきゃいけないし、皆がやると誰かが抜きん出ようとするからどんどんレベルが上がっていく。

みんなでせーのでやめよう、などということが出来るはずもない。

どちらもそれを望む人間が存在し、望まなくとも追従せざるを得ない人間が多数存在するからだ。

こんな無茶苦茶な例えで何が言いたかったかと言うと、そのくらい私には化粧という文化が不毛で逃れ難いものに見えてしまうということだ。

 

化粧をしている人を見ると、なんだか自分が重荷から不当に逃れているような申し訳ない気分になる。

これは言い過ぎたかもしれない。間違いなく言い過ぎだ。

バッチリ化粧を決めている人を見て偉いなあと思ったり、化粧が薄い*3人のほうが見てて気が休まるなあと感じたりする程度だ。

人の顔を正面から見るというのは大抵自分の顔が見られる*4ということである。

化粧が施された顔を見るたびに何の手入れもされていない自らの顔が相対的に立ち現れる。

多分自分の考え過ぎなのだが、何だか気後れしてしまう。

 

そしてきっと―私がもし女性だったとして、化粧は私の自尊心の低さを糊塗してはくれないだろう。

眉を描き、毛穴を隠し、口紅を塗ったところで自分がブスだという思いは消えまい。

そんなもののために鏡を見続けるなどというのは拷問に等しい。

顔の素地だけでなく、化粧の技術でも劣っていることを思い知らされる。

しかしこの血を吐きながら続ける悲しいマラソンを続けなくてはならない。

なんと厳しい世の中であろうか!

 

だからこういうのはどうだろうか。

みんなちがって、みんなブサイク/ブス。これでいこう。

極々少数の、美という才能(ギフト)を持ったイケメンと美人を讃えながら謙虚に生きていこう。

見目麗しき人々が神に愛された人々として権力を独占し、化粧は神による美の分配を乱す悪しき文化として迫害される、そんなユートピア

 

*5

 

 

 

 

 

 

 

*1:高校生の頃くらいまではよくポロシャツと半ズボンで生活していたのだが、そんな服装してるの勝俣くらいやぜと言われて半ズボンを止めた。ファッションに関して何か言われて改めたのは多分これが唯一である

*2:当時の私は目が合うだけでセクハラ認定されると思っていたので視界の端で捉える他に術を持たなかった。なお一説には東京では5秒以上異性を見つめたら好きってことらしい

*3:化粧が薄いか濃いかなど結局私にはわからないのだが

*4:TPSやFPSなんかを遊んでいると、正面に向き合って敵が見える状態になるというのは自分が撃たれ得る状態になるということでもある。カバー地点から顔を出して敵を視界に入れた瞬間スナイプされる度に「ああこれが"他者を見る"ってことなんだなあ」と実感する

*5:それでもやっぱり中島みゆきの「化粧」は名曲ですよね